日本産・赤珊瑚(アカサンゴ)
当店では地中海産の赤い珊瑚と区別するため、特に日本産のものを血赤珊瑚(ちあか・日本産)と表示しています。
血赤珊瑚の生息地
血赤珊瑚は日本近海(小笠原列島・五島列島・奄美・沖縄・宮古島周辺)で特に土佐湾の水深100~300メートルの海底に棲息しています。
日本産・血赤珊瑚の原木は潮流が流れてくる方向に向けて手を広げるような形で海底にくっいています。そのまま引き上げられた原木は扇のような美しい形のまま飾る拝見物としても用いられています。
日本産・血赤珊瑚は裏面と表面があります。潮流が流れてくる表面珊瑚のポリプが付いていて穴跡が多くなりますが、反対側は滑らかな美しい面です。
10ミリ以上の丸玉は希少!
血赤珊瑚の原木は根元付近で直径3センチくらいで高さも30センチくらいとあまり大きくなりません。その上、根元付近は岩に付いていたりしているため丸玉をつくるような状態ではないので、丸玉は枝部分の比較的よい部分で作ります。
平均的な枝の太さで取れるのは8ミリ位の丸玉までです。珊瑚の裏面に穴跡が多いことも大きな玉を取るためには障害となります。
このため、10ミリ以上の綺麗な丸玉は希少性が高く大変高価なものとなります。
「血赤珊瑚」とカラーグレード
本来、血赤珊瑚とは日本産や地中海産に限らず血の色のように赤黒い色(オックスブラッドとも呼ばれています)<カラーグレード4~5>のことで、これが最高の血赤珊瑚とされています。
しかし当店では日本産を血赤珊瑚と表示していますから明るい色である<カラーグレード1~3>も血赤珊瑚と表示しています。
しかし日本産・血赤珊瑚は深海で生育しているため密度が高く色が薄くても透明感のあるとても綺麗な珊瑚となっています。
日本産の証「フ」とは
日本産・血赤珊瑚の大きな特徴は原木の中心を人間の骨のように白い色の「フ」があることです。そのため原木をカットして丸玉を作ると2箇所白い色の「フ」が出て来ます。これは地中海産の赤珊瑚には見られません。
高価な血赤珊瑚の丸玉では出来るだけ「フ」を避けて丸玉を作らなくてはならないため「フ」の無い大きな10ミリ以上の丸玉は殆ど不可能となります。「フ」の少ない原木はとても希少で、あっても高価なものとなります。
天然珊瑚ならではの欠点
珊瑚は何気圧もある深海に生息していてその珊瑚が引き上げられることにより気圧から放たれた珊瑚の原木は「ヒ」と呼ばれるクラック(縦方向の筋目状のひび)ができます。
そのほかにも珊瑚は海中で成育しているため、フジツボ等の貝や甲冑類など、色々なものが珊瑚に付着することがあります。その場合これらを巻き込みながら成長するため、加工の途中に巻き込まれたものが現れてきます。これが不純物となったり、現れたものが取れて、その部分に凹やキズなどが出来たりします。これも天然ゆえの証となります。
ますます希少に、高価になる日本産の血赤珊瑚
特に土佐沖で採取される血赤珊瑚は世界最高の評価を受けています。しかし、日本産・血赤珊瑚は採れる量が非常に少なく土佐沖は採れたうちの
の虫食い珊瑚が8~9割の為、宝石珊瑚として加工できるものは1、2割しかありません。
そのため価格は20数年来毎年右肩上がりです。
特にここ数年は、中国で日本産・血赤珊瑚の人気があり、日本で採れる血赤珊瑚はほぼ全ての原木が高値で台湾に輸出されています。このため質の良い血赤珊瑚はますます手に入りにくく高値になっています。(2011年)
血赤珊瑚の拝見物
珊瑚の表面と裏面の違い
岩についている所
断面に白い「フ」の部分が見える
血赤珊瑚の丸玉。フの部分に穴をけをするのが普通
わずかにフが見えるが、欠点の少ない希少な10mm丸玉
巻き込まれた不純物が取れた穴
「ヒ」と呼ばれるひび割れ